2019年インド不動産業界低迷の理由

インド 不動産
インドの不動産業界は、ここにきて成長低迷が言われている。

2019年10月、IMF(International Monetary Fund)は2019年のインドGDP成長率を7.3 から6.1%とする下方修正を発表した。その理由の一つが、この不動産業界の低迷にあると指摘している。

2018年頃までは、堅調に成長しているように見られていたインド不動産業界だったが、2019年に入ってからというもの、徐々に衰退しているとの声が聞こえるようになった。これは、2019年の不動産購入額が前年同期比で減少しているなど、数字にも表れている。

では、なぜ不動産業界が低迷しているのか。今回は、インドの不動産業界の概要について触れた後、低迷の理由を探っていきたい。

インドの不動産市場規模

まずは、インドの不動産市場の概要について見ていきたい。

インド商工省が設立した財団India Brand Equity Foundation(IBEF)によると、インド不動産業界の市場規模は、2017年の1200億米ドル(約13兆739億円)から2030年には1兆米ドル(約108兆9490億円)に達し、2025年までには国内総生産(GDP)の13%を占めるほどまでに成長すると予想している。

特に商業用スペースの需要が伸びており、業界ごとに見ていくと、ITおよび小売、コンサルティング、電子商取引などの分野において、近年、高い需要を記録している。インドの商業用オフィス在庫は、2018年末までに6億平方フィート(約5574万平方メートル)を超えたとされており、インド国内主要都市のオフィススペースに関する新たなリースでは、2018年から2020年までの2年間で、1億平方フィート(約929万平方メートル)を超える追加があると予想されている。

インドの主要都市におけるオフィス面積の上昇率は、2018年1月から9月にかけてで前年同期比約26%増加し、3640万平方フィート(約338万平方メートル)ほどになった。全国の上位7つのメトロと呼ばれる主要都市(デリーNCR(首都圏)、ムンバイ、チェンナイ、ベンガルール、プネ、コルカタ、ハイデラバード)のコワーキングスペースは、2018年9月までに急激な増加が見られ、344万平方フィート(約32万平方メートル)に達している。2017年同期の110万平方フィート(約10万平方メートル)と比較すると、1年間で約3倍もの拡大があったことが分かる。

このほか、インドではEコマース市場の成長により、それらで扱う商品在庫を置くための倉庫需要なども高まっていると言う。

昨年、2018年のインド不動産業界の動向

ここからは、今年と昨年の業界動向を比較するため、まずは昨年、2018年のインド不動産業界の動向について簡単にまとめる。

2018年度のインド不動産業界は、オフィススペースと住宅スペースにおける需要の増加に伴い、高い成長を遂げた。それを裏付けるものとして、不動産業界への投資額の拡大がある。

不動産業界への主な投資案件

プライベートエクイティとベンチャーキャピタルの投資は、2019年1月から3月の間に14億7000万米ドル(約1602億円)に達したという。

また、産業政策推進局(DIPP)が発表したデータによると、インドの建設開発部門は、2000年4月から2019年3月までに250億4000万米ドル(約2兆7281億円)の外国直接投資(FDI)の流入を受けている。

2018年のインド不動産業界における主要な投資、開発案件については以下の通りだ。

・インドの上位7都市での新規住宅建設は、2018年末までに前年比32%増の19万3600件となり、2018年4月から6月にかけてでは、前四半期比で50%増加した。

・2018年5月、大手投資ファンド運用会社であるBlackstone Groupは、約900クロール(1億3690万米ドル、約149億円)で、ムンバイに本社を構える不動産大手のIndiabulls Real Estateから、チェンナイにある大型オフィスビルOne Indiabullsを買収した。

・2018年2月、デリーに本社を構える商業用不動産開発大手のDLFは、首都デリー近辺のハリヤーナ州グルガオンでの事業拡大のために、11.76エーカーの土地を150億ルピー(2億3170万米ドル、約252億円)で購入した。

・2018年9月、バンガロールに本社を構える不動産業者Embassy Office Parksは、インドで最初の不動産投資信託(REIT)上場により、約520億ルピー(7億7,666万米ドル、約846億円)の調達を発表した。
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