世界で2番目に大きいハブ、インドのフィンテック事情

インドは現在、米国に続く世界で2番目に大きなフィンテックハブとなっており 、国内に2,035社のフィンテック関連スタートアップ企業があるという(India Fintech Report 2019より) 。2014年には737社しかなかったことから考えると、業界の成長は著しい。
本記事ではまず、フィンテックについて簡単に紹介したあと、インドにおけるフィンテック事情について探る。

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「フィンテック」とは?

まずは、フィンテックの概要について紹介したい。

フィンテック(FinTech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけた革新的な動きの総称を指す。フィンテックという言葉自体は、2000年代前半の米国で誕生したと言われている。

フィンテックの身近な例で言えば、スマートフォンなどを使った送金がこの一つとして数えられる。有名どころで言えば、Paypalが挙げられるだろう。そのほかでは、資金の貸し手と借り手を直接つないだり、Eコマースと結びついた決済サービスを提供したりする企業があるほか、ベンチャー企業が決済などの金融サービスに参入する動きも増加している。

これまでは金融サービスが十分普及していなかった新興国でも、スマートフォンを利用した金融サービスが急速に広がっている。この波が、特にIT技術と親和性の高かったインドにも押し寄せ、関連スタートアップ企業の登場やサービスの普及を後押ししていると言える。
 

フィンテックを構成する10の主要サービス

フィンテックという言葉で一括りにしても、そのカバー領域は広くて深い。仮想通貨、送金、決済、融資、投資など様々なビジネスが含まれているからだ。

ここでは、フィンテックにおける主要な10のサービスを簡単に紹介する。

①スマートペイメント

現金や銀行手続きを必要としない電子的な決済手段を指す。現金管理が不要になるほか、銀行手続きにかかる時間や手数料も必要ない。

スマートペイメントは、カードを使った決済とQRコードを使った決済の大きく2つに分けられる。カード決済については、通常のクレジットカードのほか、クレジットカードが持てない人も審査なしで発行できるプリペイド式カードもあり、事前にチャージして使う。

②仮想通貨

その名の通り、紙幣や硬貨などの実態を持たない通貨を指す。オンライン上にデジタル通貨としてのみ存在する通貨で、特定の国や金融機関がその通貨を発行しないことも特徴だ。実態がなく、流通量などを管理する主体がないことの不安定さが登場当初から不安視されてきた。

しかし、実態を持たないことでのメリットもある。手数料の安さ、送金の速さ、小額から可能な投資、24時間365日の取引が可能であることなどが挙げられる。

反対にデメリットとしては、価格変動リスク、即決決済の難しさ、これに加えて、日本の仮想通貨取引所大手コインチェックの事件で記憶に新しいハッキングや紛失、不正流出のリスクなどが挙げられる。
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