源泉徴収年次ステートメント「Form26AS」の新様式が発表!

インド新時代の礎を築く最新の税務戦略に学ぶ ⑧

新様式への変更による影響

税務申告の簡素化とForm26ASの改訂については、金融取引にかかる情報開示が関係しています。こちらの開示項目は、特定の金融取引(SFT : Specific Financial Transaction)として以前から法律上規定されており、銀行並びに投資信託・債券を扱う金融機関等との取引についてForm61Aという別の様式で申告・開示するよう義務付けられています。(根拠法令:インド1961年所得税法第285BA条及びインド所得税法施行規則 第114-E条)

今回の法改正により、所得税や法人税といった直接税を扱う管轄組織であるCBDT(Central Board of Direct Tax: インド直接税中央委員会)は、上記を背景に2020年5月28日付で通達(No.30/2020)を公布しており、Form61Aによる申告内容がこれからはForm26ASにおいて開示されることとなる点について言及しています。つまり、特定の金融取引にかかる申告情報がForm26ASと紐づくこととなるため、税務当局と納税者間での性善説を前提とした情報共有がよりスムーズになることが見込まれます。(根拠法令:CBDT通達(No.30/2020)及び1962年インド所得税法施行規則 第114-I条)

なお、改訂されたForm26ASの新様式は、新たにAIS(Annual Information Statement)と名付けられていますが、こちらはForm 61A が従前よりAIR(Annual Information Return)と法律上名付けられていたことに由来するようです。

このように、インドでは税制改革が着実に進んできており、モディ首相のリーダーシップによって官僚主義や汚職が排除される制度設計になりつつあります。こうした改革は納税者とっては嬉しいことであり、それゆえインドの投資環境の改善にも繋がっているのだと考えられます。遅々として前へ進む巨象インドがどこまで行けるか、大きな期待を込めてしっかりと見守っていきたいと思います。

【執筆者】

Global Japan AAP Consulting Private Limited
代表取締役 創業者
田中 啓介

南インドのチェンナイに本社を構える国際会計事務所。バンガロールおよびハイデラバードにも拠点を持ち、インドに進出する日系企業の市場調査や法人設立支援、会計税務、法務、労務、カンパニーセクレタリー等の各種コンプライアンスのアウトソーシング支援やアドバイスをご提供している。また、リモートワーク前提の経理体制構築支援やバーチャルCFOとしてのインド子会社管理に強みを持ち、日系企業のインド事業の管理基盤を強固にします。創業者である田中は2012年からチェンナイに移住しており、これまで100社超の日系企業のインド進出を支援。

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