「CAROTAR, 2020 」 税関職員の権限強化と輸入者の原産地証明義務の厳格化

インド新時代の礎を築く最新の税務戦略に学ぶ ⑨

原産地手続きと特恵税率

輸入手続きにおいて貿易協定に基づく特恵関税(Preferential rate of duty)を適用する場合、当該輸入品がどこの国で作られたものなのか判別する原産地手続が必要です。いわば「物品の国籍(原産地)」の判別を行うこの手続きは、貿易協定に定められた原産地規則を用いて判別が行われます。複数の国にわたって生産が行われた輸入品の原産地を特定する上で用いられ、特恵関税の適用においては、貿易協定国を経由して不当に特恵関税を適用する迂回輸入を防止する観点から原産地規則が必要となります。
 

新たな原産地規則CAROTAR 2020が施行

インドでは、2020年度予算案においてすでに提案がされていた上記の迂回輸入の防止と原産地手続の厳格化を目的に、2020年8月21日付で公布されたインド財務省通達(No. 81/2020 - Customs (N.T.)において、「貿易協定に基づく原産地規則に関する関税規則(CAROTAR 2020:Customs (Administration of Rules of Origin under Trade Agreements)Rules, 2020)」を2020年9月21日から正式に施行する旨が発表されました。
 

原産地規則における重要な変更点

税関から輸入者への情報要求に関するルールが明文化されたこの関税規則では主に、(1)輸入者の原産地証明にかかる責任と(2)税関職員の権限強化について規定されています。まず、(1)輸入者の責任については、特恵関税の適用を申告する輸入者は、原産地証明書の提出及び詳細情報の提供に加え、所定の様式「Form I」(上記通達No.81/2020 – Customs(N.T.)に規定)に従った原産品に関する詳細情報の取得とすべての根拠資料を輸入申告時から少なくとも5年間保管することが義務付けられました。なお、当該様式Form Iは、原則、保管義務であり税関当局が原産地性に疑義を持った場合にのみ提出を求められます。具体的には、輸入者や特恵関税率を含む税関申告書に関する情報に加えて、輸入品が完全生産品(WO : Goods Wholly Obtained)かどうか、もしWOではない場合には生産国における生産プロセスや原産地基準にかかる情報やその根拠データなどについても開示が求められるフォームとなっています。なお、当該関税規則CAROTAR 2020のFAQsが発表されましたので詳細についてはこちらをご覧ください。
https://taxguru.in/wp-content/uploads/2020/10/Guidance-on-compliance-of-CAROTAR-2020-Taxguru.pdf
 
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