大企業同士の協業に見る日印連携

インドにおける日本企業のビジネスチャンスとは④

Infobridgeがお送りする連載コラム、「インドにおける日本企業のビジネスチャンスとは」。第4回は、日印の大企業同士の具体的な協業事例を交えながら考察していきます。

商習慣をはじめとする文化や価値観が異なるインドと日本。製品開発、マーケティング、営業、アフターサービス、いずれのステージでもインドにおける知見が必要とされる中で、経験値のあるインドの大企業との連携は、インド市場開拓に有利に働きます。

インドで最も成功している日印大企業同士の協業事例は、マルチ・スズキが挙げられます。1982年にインド国営企業マルチ・ウドヨグ社とスズキ四輪車の生産、販売に関する契約に正式調印。1983年より現地生産を開始。2002年にマルチ社の株式を過半数取得し、子会社化、2007年に「マルチ・スズキ」社に社名変更。工場はハリヤナ州グルガオンとマネサール、グジャラート州アーメダバードの3か所で、R&D拠点はハリヤナ州ロータクに構えます。1980年代にインド企業との協業に踏み切った先見の明ももちろんですが、高級ディーラー「NEXA」・デジタルディーラー「アリーナ」といったディーラー改革、2020年8月には同社初のサブスクリプションプログラムを開始するなど、次々と新しい施策を打ち出し、競争の激しいインドの自動車業界でトップの座を守り続けています。国営企業が前身であったことによるマルチ社のネットワークや業界ノウハウと、スズキの出自や役職にこだわらないフラットな企業文化や生産体制が上手く奏功しているといえます。新型コロナウイルスに起因する自動車販売低迷が続く中でも、2020年8-9月の2か月は前年比二桁増の販売を達成、V字回復を遂げており、インド経済のけん引役として期待されています。

「柿の種」の亀田製菓は、当初は中国産のコメを中国で加工、輸入販売を行っていましたが、地場食品大手LTフーズと合弁企業を設立し、現地生産に切り替えています。LTフーズはインドのコメ販売の最大手。インドでは高級菓子と位置付ける柿の種の生産に向く品種や加工法などのノウハウ、販売ネットワークがあり、協業相手にふさわしい相手です。ロックダウン期間中の工場停止や輸送規制といった困難を乗り越えて、販路を高級スーパーだけでなく小規模・零細商店やネット販売も開拓する計画で、臨機応変に戦略を変更しながらインド事業を進めています。

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