英Vodafone社、インド事業買収時の遡及課税巡り勝訴

インド新時代の礎を築く最新の税務戦略に学ぶ⑪

英Vodafone社が遡及課税を巡り勝訴

 2020年9月25日、英携帯大手のVodafone社は、2007年のインド事業買収に対する20億ドル規模の遡及課税を巡るインド政府との裁判について、オランダ ・ハーグの国際仲裁裁判所の勝訴裁定を得ました。「Vodafone事件」と称された当該税務訴訟は国内外から注目を集め、約13年間にわたって続いた国際課税論争は、ようやく終着点を迎えそうです。今回の記事は、Vodafone事件と遡及課税ついて取り上げたいと思います。

Vodafoneのインド市場参入の背景

 日本テレコムの傘下であったJ-Phone(ジェイフォン)の買収を通じて日本の携帯電話市場に参入した英Vodafone社は、日本市場については早々に見切りをつけ、2006年にはソフトバンクに事業売却後、今度はインドの携帯電話市場に注目します。同社がその翌年に当時インド国内大手Hutchison Essar(ハチソン・エッサール)社を間接的に買収するわけですが、この買収スキームが少し複雑なため、まずはそのスキームの概要についてここで説明しておきます。

2007年11月、Vodafone社は、同社のオランダ法人を通じて、英領ケイマン諸島法人の投資会社(CGP investment社)の発行株式を100%取得しました。譲渡人は同じくケイマン法人のHutchison Telecommunication(HT:ハチソン・テレコミュニケーション)社で、対象会社はモーリシャス法人の中間持株会社を通じて、インドの携帯通信会社Hutchison Essar社の株式67%を間接保有していました(※その後、2018年にインド大手財閥Aditya Birla Group(アディティア・ビルラ・グループ)傘下のIdea Cellular(イデア・セルラー)と合併しVodafone Idea Limitedが誕生。2020年11月現在、英Vodafone社の間接的な株式持分は約45%)。

 
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