第1回:新型コロナ後の社会とインド企業への出資・買収について

(1)はじめに

  • 2020年は新型コロナの年であった。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港を出港したのが1月20日。同月25日に香港で下船した方の新型コロナ感染が発覚したのが2月1日、その後あれよ、あれよという間に新型コロナ一色の世の中となったというのは皆様実感の通りだ。
     
  • 小職は2020年3月に、長く務めたM&Aアドバイザリー専業のGCA株式会社を退職し、日本とインドのM&Aアドバイザリーにフォーカスした会社を設立した。これまで17年ほどたM&Aアドバイザリー業務に従事してきたが、最近の10年は日本とインドのM&Aに携わってきた。そのノウハウと経験を活かして、インドで活躍する日本企業を増やしていきたい、というのが「株式会社マナスコーポレートパートナーズ(http://www.manascp.com)」の目的である。
     
  • 起業までの助走期間である3月の初旬にインドを一週間ほど訪問してこれまでプロジェクトを一緒にやってきたインドの弁護士事務所のメンバーや、プロジェクトの相手方のアドバイザーであったインドの投資銀行のメンバー等、そして現地に駐在されている日本企業の方々に退職と起業の挨拶に行くことを予定していた。スケジュールも固め、インド国内のフライト予約も済んでいた。いくつかの訪問予定先とスケジュールの再確認をする中で、とあるインド人インベストメントバンカーから「本当に来るのか?知り合いの弁護士は日本への出張をキャンセルしたようだが…」と言いづらそうに言われた。当時(2020年2月下旬)日本では感染拡大が連日報道されており、他方インドでは当時感染者はまだ出ていなかった頃だ。この頃小職は「できれば来て欲しくない」ウィルス蔓延国からの出張者だった訳だ。どうしたものかと思い悩んでいたら、家内から「万が一日本からインドにウィルスを持ち込んだ人、となっては大変な事なので延期が無難」というアドバイスを貰って腹を決め、当該出張を一旦延期する事にした。訪問予定先にお詫びの連絡を入れたところ一様に「賢明な判断だ」というややほっとした反応であったのを今でもよく記憶している。その後一気に普及したWeb会議で、このような「ご挨拶」出張の用事の殆どが対処できてしまうという「新時代」に突入した事を思うと大変感慨深い。
     
  • 日本では目下、第三波という事で足元、再度感染拡大が懸念される状況であるが、9月中旬1日あたり9万人もの新規感染者が見られたインドは、現在(2020年12月26日)1日あたり新規感染者は3万人を下回っており、少し落ち着いてきたという状況だろうか。それでもこれまでインド国内で146千人もの方々が新型コロナで亡くなっており、今なお拡大が続く状況からもこのウィルスがもたらした災厄の深刻さが窺い知れる。


出所:https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/
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