インドの税務調査が変わる?コロナ禍で進む非接触型スキームの導入

3.非対面型罰則スキーム(FPS)に導入されるユニット制とは?

このスキームが画期的なのは、非対面型税務調査スキームと同様、更生手続きにおいてもユニット制による職務分掌が導入された点です。1つの課税事案の検討を行う際に、更生請求の起案を担う「罰則ユニット(Penalty Unit)」と更生案をレビューする「罰則レビューユニット(Penalty Review Unit)」のそれぞれ独立した部署が検討するため、検討手続きの効率性や各ユニットの専門官の説明責任が向上することが見込まれます。また、ユニット制では担当官の恣意的な判断が入る余地がなく、納税者への更生通知においてもレビュー内容が明示されるため、透明性のある客観的な課税判断が期待されます。

 

4.インドの税務調査プロセスの今後の行方

これまでの直接税における調査プロセスにおいても、電子手続き(e-Proceeding)の導入により比較的スムーズに税務調査が行われていましたが、税務調査の担当官によっては引き続き対面による聴取や根拠証憑の原本確認を求めるケースが散見され、納税者の大きな負担となっていました。また、税務調査の担当官によって見解が異なるケースや、賄賂など汚職の可能性もあるため、今回導入された包括的な非対面型のスキームは、担当官の恣意性が排除と納税者の保護という観点から、税務調査プロセスおよび更生手続きの改善が期待できるといえます。日系企業においても理不尽な税務調査、長期にわたる税務訴訟、調査官からの賄賂の要求に悩まされるケースがあることから、この非対面型スキームの導入により、少しでも日系企業の税務紛争に対する負担が軽減されることを願っています。

【執筆者】

 

Global Japan AAP Consulting Private Limited
代表取締役 創業者
田中 啓介

南インドのチェンナイに本社を構える国際会計事務所。バンガロールおよびハイデラバードにも拠点を持ち、インドに進出する日系企業の市場調査や法人設立支援、会計税務、法務、労務、カンパニーセクレタリー等の各種コンプライアンスのアウトソーシング支援やアドバイスをご提供している。また、リモートワーク前提の経理体制構築支援やバーチャルCFOとしてのインド子会社管理に強みを持ち、日系企業のインド事業の管理基盤を強固にします。創業者である田中は2012年からチェンナイに移住しており、これまで100社超の日系企業のインド進出を支援。

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