デジタル先進国の今、インドのDX活用事例⑤

インドに学ぶDX! インド流デジタルトランスフォーメーション

低価格な通信料とスマートフォンの急速な普及、IT人材の多さもあり、リープフロッグイノベーションがあらゆる業界で起こり、今ではデジタル先進国とも言われているインド。政府によるデジタル化推進を背景に、あらゆる分野でデジタル化が進んでいます。そして、新型コロナウィルスによってさらにデジタル化は加速しており、企業のDX導入が進んでいます。DXについての考え方も変化しており、ソフトウェア開発企業のZendeskが2021年4月にインド国内で同社の顧客企業を対象に行った調査によると、調査対象となった企業の半数以上が、「DXを1~3年早めることができた」と回答し、72%の企業が「1年前よりも顧客体験(CX)の重要性が増した」と答えています。新型コロナウィルス感染拡大以前は、企業が今までのやり方を変え、テクノロジーの導入に対して不信感を持ち、なかなか導入に踏み切れないケースもあったようですが、今では経営者たちは、積極的にDXを進めているようです。AI、loT、ブロックチェーン、クラウドなどのテクノロジーに投資する企業も多く、今日のインドではあらゆる産業でDXが進んでいます。

 

インドでDXが進んでいる業界の一つは、金融業界です。インターネットバンキング、スマホアプリ上での送金手続きといったキャッシュレス決済に留まらず、チャットボットを活用したカスタマーサポート、顧客のデータを分析し、一人一人に合った最適な金融サービスや商品のレコメンド機能等、AI技術を活用することによって、以前よりもベネフィットを得られ、本当にユーザーにとってためになるサービス提供を実現しています。他にも、あらゆる産業でデジタルテクノロジーが導入され、DXが進んでいるインドですが、他にどんな事例があるのでしょうか?

まず、インドの小売業におけるDX事例を紹介します。インドの小売業の全体の売上の9割を占めるとも言われている「キラナ」と呼ばれる零細商店ですが、このキラナのデジタル化が現在進められています。多くのキラナは、販売は基本店頭のみ、在庫・売上管理も紙とペンでの記録など、非常にアナログな経営を行ってきました。筆者がインドに来たばかりの2017年には、まだ現金支払いのみ対応という店舗が多かったのですが、2021年現在では、キャッシュレス対応をしていない店舗を探す方が難しいほど、デジタルテクノロジーが導入されるようになってきました。また、決済関係だけでなく、キラナ向けのデジタルソリューションを提供する会社も増えてきています。仕入れや在庫管理のデジタル化ソリューションや、売上のデータ管理を行うソリューションなどを提供するソフトウエア企業やスタートアップをはじめ、Amazonのキラナ向けオンライン販売プログラム「Local Shops on Amazon」や、インド財閥Reliance が展開するオンライン小売プラットフォーム「Jio Mart」の提供するWhatsAppを利用した注文システムなど、キラナのためのデジタルソリューションはいくつも登場しており、キラナを取り巻くテクノロジー環境は充実してきています。既に上記で取り上げたようなデジタルソリューションの恩恵を受け、売上が伸びたり、経営の無駄が削減されたという声も多いようです。

 

小売以外にも、スマートフォンやPC・タブレットを活用した教育Xテクノロジーのサービスも浸透しています。教育テックと聞くと、学生がデバイスを使ってオンライン授業を受けることがよく連想されますが、学生向けだけでなく先生向けのデジタルソリューションもあります。その一つがバンガロールのスタートアップTeachmintが提供するクラス管理システムです。同社のサービスにより、先生はスマホ一つで出席確認や授業の実施、テストの実施など、今まで管理が難しいとされていたクラス全体の管理業務をオンラインで完結させられます。Zoom等のビデオ会議システムや動画サービスを活用したオンライン授業だけでなく、クラス管理ができるこのソリューションは好評で、ユーザーは全国に70万人以上、10のローカル言語に対応しており、ベンチャーキャピタルからは18億円を調達し、注目されているデジタル教育ソリューションの一つです。

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