キャリアの選択肢として日本を目指すインド人が増えている理由

インド人のための日本のビザ要件の緩和



ビザ要件が緩和されたことで、インド人にとって日本のビザ取得が格段に容易になりました。インドと日本の間の良好で安定した政治的関係が背景の一つですが、実利的な面では、日本は国内経済を押し上げるためにより多くのインバウンド訪問者を必要としています。

日本は2018年以降、必要書類の点数を下げることでインド人のビザ申請手続きを簡素化し、より多くの申請者にマルチエントリービザを付与しています。さらに、インドで高等教育を受けている申請者やインドの大学を卒業したばかりの申請者がシングルエントリーの日本短期滞在ビザを申請する際、収入証明書の代わりに大学の証明書を提出することでビザを申請できるようになりました。これは、より多くのインド人青年の訪日を誘致し、両国間の人的交流を増やすことを目的としています。

米国のビザ問題と英国の先行き不安

日本は外国人移民の受け入れに門戸を開きましたが、米国はトランプ政権以降、就労ビザの取得が最も困難な国の一つになりつつあります。英国に関しては、移民労働者をこれ以上受け入れることにはっきりNOと意思を表明しており、また現在のBrexitの混乱はビジネス全体の見通しに暗い影を落としています。

2016年にトランプ大統領が就任して以来、H1-Bビザの拒否率が急上昇しているため、TCSやインフォシスなどのインドの企業は動揺しています。これらインドの大手IT企業は現在の米国ビザ問題に対処するため米国以外の海外拠点の構築を急いでおり、日本語を含む外国語で従業員をスキルアップさせて未開拓の市場に進出しようとしています。  

日本は初めてインドのブルーカラー層に門戸を開いた

深刻な労働力不足を解消するため、日本政府は2018年にインドと「技能実習制度(TITP)」を締結しました。一般的にホワイトカラー職(主に大学や大学院を卒業した者)に認められるビザとは異なり、技能実習ビザでは、大卒ではない熟練技能者でも、日本で3~5年間、有給インターンシップとして働くことができます。

すでに、技能実習制度の元で訓練を受けたインド人技能実習生の第一陣が、日本の職場で働き始めています。その数は2018年現在で114人とまだ取るに足らない規模ですが、看護師からダイカストエンジニア、農業従事者まで、様々な職種の熟練技能者がいま日本を目指し始めています。それは、日本で稼げる貯金額がインドの3倍近くになるため、収入を得るのに適した目的地として注目しているためです。

インドで日本語を学ぶ機会が増える

日本はより多くの移民を歓迎したいと思っていますが、外国人にとって日本語は最大の障壁となっています。インド人にとっては、インド言語のように複雑な音韻体系を持たない日本語を話すことは簡単ですが、日本語の文字体系は、特に漢字圏以外の国の人々にとっては、世界で最も複雑なものと考えられています。

日本語教育が初等教育から高等教育までしっかりと浸透している東南アジア諸国とは異なり、インドの日本語教育への注力は最近始まったばかりです。2015年時点でインドの日本語学習者数は24,011人となっており、前回調査(2012年)から19%増加しています。現在、日本語を学びたいという需要はあるにもかかわらず、日本語を学ぶための機会やアクセスが不足していることが主な課題となっています。

この問題に取り組むため、安倍首相とモディ首相は2017年、1,000人の日本語教師を養成し、インド国内の100の高等教育機関で日本語認定コースを開講することで相互に合意しました。この目標を達成するために、2018年には日本語教師養成センターがジャワハルラール・ネルー大学のキャンパスに開設されました。このトレーニングセンターでは、日本語教師たちに専門的な言語教育の方法論を教育し、そこで学んだ学生(教師)をインド国内に輩出しています。
最近の日本とインド、そして世界の政治、社会経済状況は、インドと日本が関係強化に乗り出すあらゆる理由を与えています。インド人がかつて最も好んでいた就職先である国々は門戸を閉鎖しつつあります。日本政府は、いわゆる聖域と呼ばれていた移民規制を破って、ブルーカラー層から新卒生まであらゆる移民労働者の受け入れを開始するために様々な措置を講じてきました。このマクロトレンドは当分の間は変わりそうにないでしょう。今後10年間で、 インドの若者にとって日本は主要なキャリアの目的地の一つとして浮上するかもしれません。

 (原文)
Why more and more Indians are choosing Japan as a career destination  https://eijcareer.in/resources/why-more-and-more-indians-are-choosing-japan-as-a-career-destination/
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