TikTok、反中感情の高まりを受けて非難の的に

TikTok
【ニューデリー】 インドと中国が係争地域での対立を露わにした先週一週間 、ショートビデオ共有アプリのTikTokは、インドのインターネットユーザーの怒りの矢面に立たされている。インドのテクノロジースペースにおいて、中国のプレゼンスが高まっていることへの懸念が表面化した。

主要なソーシャルメディアプラットフォーム上では、ありとあらゆる中国発のユーティリティアプリやコミュニケーションアプリをアンインストールせよという呼びかけやキャンペーンが行われている。しかし、ByteDanceが運営するTik Tokほど厳しい視線にさらされているものはない。

TikTok(と、同じくByteDanceが運営するインド市場に特化したHelo)ボイコットの動きは、今回の衝突が起こる以前からあった。それは、新型コロナの発生源が中国の武漢であったこととも一部関係する 。反中感情が高まっているのは、インドに限らず世界的現象とも言える。しかし、この流れが決定的になった契機は5月、TikTokとYouTubeの人気クリエイターたちが、それぞれの人気やコンテンツの質をめぐって「戦争」を起こしたことにある。このチャンスを見るや、インドのデジタル右翼のインフルエンサーたちが加担した。その後、民族主義的なアプリ開発者たちが拙速ながら開発した、TikTokのような中国系アプリをデバイス上で探知して削除するようなアプリまで生まれた。

この他にもTikTokをめぐる懸念は絶えない。動物虐待や「反インド的」なコンテンツを容認するようなビデオがいくつか投稿されていることや、投稿データが中国に送られ検閲されているのではないかという疑念もある。これは重大な懸念だ。なぜなら、中国にフォーカスしたテック系雑誌PingWestが6月初旬に明かした報告によると、ByteDanceは中国人エンジニアがTikTokやHeloなどの海外向けアプリにアクセスすることを制限しているという。これは、同社が中国と海外事業との間に「管理上および技術上のファイアウォール」を築きあげるという一連の取り組みの中で、最も新しい動きである。  

もしこの動きが事実なら、同社がDisneyの元上級幹部であったKevin Mayer氏を、TikTokのCEOおよびByteDanceのCOOとして迎え入れた時期と一致する。つまり、ByteDanceが2017年後半に行った10億ドルでのMusical.ly買収に関して、アメリカの規制当局や国会議員、ユーザーが国家安全保障への懸念を表明していることを考慮して、同社はイメージチェンジを試みているのだ。

ファイアウォールを築く取り組みも特筆に値する。中国にとってセンシティブと思われるコンテンツ(ダライ・ラマ、チベット、香港など)に中国の検閲がアクセスできないことを、ByteDanceがアメリカのユーザーに納得させようとしていることの表れだからだ。 ガーディアン紙は昨年9月、TikTokが中国政府にとって不快なビデオを自己検閲していることを明かすリーク文書を取り上げた。またワシントンポスト紙の11月の報道は、先の報道が事実であることを裏付ける内容だった。ByteDanceの元従業員らが同紙に語ったところによると、中国人従業員がフラグのついたビデオに対して最終裁量権を持っていたという。

インドでは、リリースされてからわずか3年という短い期間にも、厳しい監視の目にさらされている。例えば、ET紙が昨年報道した内容によると、ByteDance 社は「クリエイターが投稿するコンテンツに報酬を支払うようなことはしていないし、プラットフォーム上に投稿するコンテンツに関して干渉したり操作したりするようなこともしていない」と、通信IT省に報告している。しかし、その次の行で同社は「同プラットフォームを宣伝したり、プラットフォームにあるツールを最大限活用する方法を周囲に教えたりできる一部のユーザー」と関与した事実を明かしている。これは本質的に矛盾している。ET紙は複数の契約書の存在を明らかにしたが、そこにはTikTok(および以前のMusical.ly)がクリエイターに対し「ダイヤモンド」と呼ばれる仮想通貨を報酬として支払うということが記載されていた。

ByteDanceは当時、これは「一般的なマーケティング手法」であるとし、「情報統制」を意味する行動ではないと擁護した。このような行為はインドのテクノロジプラットフォーム上では違法行為には当たらないとし、同社は単なる「受け身型のホストまたは後援者」に過ぎないと主張した。  

昨年7月には、全国的政党や地方政党出身の議員数名が、インドの下院にてTikTokに関する複数の懸念を取り上げた。具体的には、データが中国に流れるという安全保障面の懸念や、同社の中国政府との密接な関係、そして「民主主義のプロセスを危険にさらす」という同社の役割などだ。これに先立つ2019年4月、マドラス高等裁判所は、TikTokがポルノを流布し「児童を性的捕食者にさらし、ユーザーのメンタルヘルスに悪影響を及ぼす」可能性があるとの申し立てを受け、インドで6日間の禁止令を出している。

しかしTikTokは、中国へデータが流出しているとの告発に反論している。同社はET紙へのこれまでの声明で、「インドのユーザーデータは、業界大手である第三者のデータセンターに保存されている」と発表している。また、「TikTokは中華人民共和国では運営されておらず、中国政府はTikTokのユーザーデータにアクセスすることはできない。また、チャイナテレコムとも一切関係がない」と述べている。    

[参考元]
THE ECONOMIC TIMES
TikTok in line of fire as anti - China sentiments rise
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